グランピングはどこから来て、どこへ向かうのか。その足跡をたどり、歴史を紐解いてみると実は現代文明の発展と常に隣り合わせだと気付く。言うなれば私たち人間は、文明を発展させながら、そして着実に自然を楽しむ術も磨いてきたのだった。
そして今、世界中で一気に、グランピングが花開いた。大旅行時代にモータリゼーションを経て、個の時代。
ここから先、花を育てるのは私たちの役目だ。先人も羨むようなグランピングを実践しなくては。
『Glamping Chronicle グランピングの歴史はルイ・ヴィトンと共に始まった』
グランピングの源流をどこに見るべきか? それは間違いなく19世紀にまで遡ることができる。その時代に、グランピングの発端となったであろうビッグウェーブが起こっているからだ。18世紀後半から19世紀前半にかけてイギリスを中心に起こった産業革命は、社会に大変革をもたらし、大きな変化の一つとして余暇を生み出した。工業化により人々の収入が増加し、同時に週休制度も誕生するのだが、生活が豊かになると、彼らはは手に入れた余暇をどう使うべきか悩み始めた。そして、一つの解としての流れ−余暇を利用して都市から外へ向かう−という考え方を生み出したのだった。もちろんこの趣向は大ブレイクし、19世紀初頭のヨーロッパでは、大きな収入を手にした富裕層、セレブたちが、こぞって郊外へ出かけていったという。
(ヨーロッパの上流階級の人々は、馬車でピクニックに出かけていた。注目すべきは、彼らが正装に近い出で立ちだということ。当時の余暇は、パーティーのようなものだったのか)
セレブたちの動きに呼応するかのように、19世紀半ば、一つのラグジュアリーブランドが世に放たれた。当時すでにフランス随一の職人と呼ばれていたルイ・ヴィトンが、パリのカプシーヌ通りに店を構え、馬車に積み込むためのトランクを販売したのだ。しばらくすると、蓋が平らになっているトランクも発表。さらにこのトランクに防水加工を施し、素材にコットンを使用したものまでリリースした。これらは、移動のための手段が馬車しかない時代から、鉄道や車、船へと移行していくはずだという交通機関の発達に注目したルイの先見の明から生まれたもの。使いやすさをとことんまで考えぬいた“平らなトランク”を、セレブたちはこぞって買い求めたという。
(トランクを手に入れたヨーロッパの貴族たちは、アフリカやインドへ向かい、サファリを楽しむように。そこでは台地の上のダイニング、森の中の豪華なキャンプが設営されていた)
折しもヨーロッパでは、大旅行時代が幕を開けていた。セレブたちは都市を離れ、郊外や大自然へと、「ルイ・ヴィトンのトランク」に荷物を積み込み、出かけたことだろう。船に乗り、植民地だったアジア、アフリカ諸国へ出かけ、そこで大自然を満喫する。蓋が平らなトランク、その存在が人々の暮らしを大きく広げたことは間違いない。そして、グランピングの世界への扉も、この時開かれたのだった。
やがてヨーロッパでは近代キャンプが誕生。イギリス、フランスを中心にレジャーの宿泊手段としてキャンプが行われるようになる。
この時代を経て、どう変化していったのだろうか?
「グランピング文化はアメリカへ」
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