グランピング文化がアメリカへ

COLUMN

グランピングの歴史に迫る、グランピング・コラム。歴史はルイ・ヴィトンと共に始まったわけだが、そのあと時代はどのように変化していったのだろうか?
キャンプ文化がアメリカへ。
そこに待っていた劇的な出合い

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 さて、ヨーロッパで工業化が進み「自動車」が生まれた頃、アメリカでもヘンリー・フォードがガソリン自動車を誕生させていた。彼は以前エジソンの電灯会社で働いていたこともあり、エジソンにガソリン自動車の開発を褒められると、さらに情熱を傾け、T型フォードを開発。この車のタイヤには、馬車用タイヤを製造していたハーベイ・ファイアストーンのタイヤが使われた。
 このT型フォードは爆発的に売れていくことになるのだが、そんな中、フォード、エジソン、ファイアストーンの3名はオートキャンプ旅行を始めたという。毎年のように、2週間かけてアメリカ大陸を旅する彼らのキャンプは1915年から24年まで9年間も続き、21年には第29代アメリカ合衆国大統領のウォレン・ハーディングも加わっている。オートキャンプと言っても、とても優雅なものだったようだ。20人近くは入れるであろう巨大なタープの下でのんびりと食事を楽しみ、テントで寝る。自然の厳しさの中に身を置くのではなく、大自然の中で自分たちのライフスタイルを楽しむのが、彼らのスタイルだった。そしてこれは、現代のグランピングへと続く大きなテーマとなっていった。
 T型フォードの人気を機に、アメリカでは世界初のオートキャンプブームが起こる。やがてこのブームは、自動車やキャンプを生み出したヨーロッパへと、輸出されていく。

車とキャンプが結びつき、
より遠くへ、快適さを求める

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 車を伴うアメリカのキャンプは、もちろんヨーロッパですぐに受け入れられた。だからセレブはもちろん、冒険家たちも自動車で旅に出た。ルイ・ヴィトンの平らなトランクにお気に入りの道具を詰め込んで。目的地では、宿泊のための巨大なテントや現地にあるキャビンにお気に入りの道具を並べ、優雅なダイニングで現地の食材に舌鼓を打つ。20世紀半ば、すでにグランピング・スタイルは確立していたのだった。
 話は少し逸れるが、まだ人々が馬車で旅をしていた頃、すでに“馬車で引く部屋”が生まれていた。馬車の荷台に壁を作り、扉や窓もつける。小屋の中にはお気に入りの食器、調理道具、寝具。雨露を気にしなくて済むだけでなく、グッと快適な旅のために、人々は工夫を重ねていったのだ。この行為がのちにキャンピングトレーラーへと発展し、自動車と結びつくことによって、モーターホームを誕生させることになった。
そして、現在のグランピングブームにつながっていくわけなのだが、今後どう変化していくのだろう? 
個性化してくグランピング文化

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